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  • 2016.09.15
  • 3Dプリンターから服が出てくる世界が来る(かもしれない)

3Dプリンターで作った糸を3Dプリント空間で編みあげる 「AMIMONO」(アミモノ) を発表しました

SF作家アーサー・C・クラークは『充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。』と言いました。

3Dプリンターで魔法のように服を作り出したい…。
そんな妄想を具現化するために、以前よりSTARtedと3Dモデラーの小野正晴さんの共同で、3Dプリンターで出力する服を研究してきました。

そして、ついに、現在ある技術の限界ではないか?…というレベルの3Dプリントウェアができてしまいました…。

 

 

今回、発表するのは伸縮性のある素材を使った糸を出力空間で編みあげながらプリントする新型工法で製作されたプロトタイプ「AMIMONO(アミモノ)」です。

ムービーも気合を入れて撮影いたしましたので、どうぞ最後までご覧ください。
ショーモデルで作られたRPGのボスキャラのようなビックリ服ではなく、日常に着られる「リアルクローズ」であることを表現しています。

 

3Dプリンターで『糸』を出力し、あらかじめニット状にモデリングしているので、出力空間でニットを編み上げるようにプリントされ、服がプリントされていく……まさに魔法で空間に服を作り出すように……。

 

「AMIMONO」は、主に建築などで使用されている、コンピューターアルゴリズムを使用したデザイン手法「アルゴリズミックデザイン」を服のデザインに落とし込み、3Dプリンターが『TPUを糸にして出力空間でニット上状にあみあげならプリントする』という手法で作られています。

…と、書くとわかりにくいですが、3D空間状での糸の配置を機械に計算させているということです。

この複雑な構造のモデリングの技術的難易度や、出力の難しさがあり、かなり製作は難航しました。
プリントするときに糸のような細いものを出力すること自体が難しく、なおかつプリンターが糸と糸がひとつのパーツのようにくっつけて出力してしまうなどのトラブルが多いためです。

また、今回使ったTPUという素材のプリントノウハウを持っている企業が少なく、「データ作ってパッとプリント」ということができずに海外のノウハウのある工場を探してのプリントとなりました。

 

ボタンもボタンホールも、すべて一体化されてプリント。

ニット状のAMIMONO構造がこのようにプリントされます。

 

 

この連載の初期でも書きましたが、従来の3Dプリンター出力された衣類は樹脂の部品でできている「服のプラモデル」といえるものです。
衣類としての実用性からはかけ離れたもので、ショーでの展示モデルとして「なんか凄い感」はあるものの、普通に着られる服といはいえないものでした。 

それに対し「AMIMONO」は、一般的な毛糸のセーターのように「編んで」作られていますので従来の手法と比較にならないほどの伸縮性があります。
また、
ゴムに近い特性と硬質プラスチックのような強靭さを合わせ持つと言われる高分子化合物TPUという素材で「糸」を作りだしているため、素材的にも構造的にもストレッチするというものになっています。

ニットのように伸縮し、「服のプラモデル」ではできない『たたむ』ことができるようになりました。
たためるのって別に凄くないように思うかもしれませんけど、3Dプリントで作られたものとしては画期的なのです。

 

恐らく現在のハードウェア(プリンター)の性能の上限まで使いきった、「技術的に普通の服にどこまで近づけるのか」の限界まで来た世界最高峰レベルの技術であると思います(それなのに、この地味感…普通の服を目指しているから、仕方ないのですが…)

3Dプリンターから服が出てくる世界にまた一歩近づいてしまいましたね。
もう技術的な限界にきている気もしますが、次回どんな展開になるかお楽しみに…

協力

UTB小野正晴

3D maker / 野生Grasshopper使い
小野 正晴
某企業のインダストリアルデザインをする傍ら、個人としてハイパー3D金欠クリエイター活動中。
2016年、3Dモデリングを活用したアイテムを展開するブランドFree-dを開始。
http://free-d.net/
この記事を書いた人

フジイユウジ

株式会社バンダースナッチ代表
フジイユウジ
1976年生まれ。インターネットと小売業が大好き。イラストから服が作れる&個人がブランド立ち上げできるSTARtedの運営会社バンダースナッチの代表取締役。
「商売」にコダワリあり。コダワリ過ぎて、ややウザ目なフジイユウジ::ドットネットという個人ブログもやってます。

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